6.仲間

本日のテーマは“仲間”です。仕事に限らず、物事を効率的に実行する為の究極の方法は、AIなどではなく、仲間をつくり、補い合う事だと私は考えています。敢えて言葉を添えるとすれば“良い”仲間ですかね。“悪い”仲間は逆作用する場合もありますからね。
仲間を作る/仲間になるには以下の3つのステップが必要です。



 

・出会う
・信頼関係を築く
・価値観を共有する

 

このブログは企業経営者をはじめとする各層のBusiness Men/Womenを主な対象としていますので、今回は、この“仲間”として以下の3つのタイプを定義しました。

 

A. お客様
B. パートナー企業(協力会社)
C. 社内

 

主たる実務を進める上での登場人物のほとんどは、上記の3つの中のどれかに含まれます。
(実務を進める上での登場人物にフォーカスするために、今回は株主等は省いて話を進めます)
A~Cの中に、良い仲間を作ることができれば、間違いなく仕事はうまく進むでしょう。AIは大量のデータをもとに統計的処理を進め、確率の高い選択肢を提示しますが、仲間同士は予め何をするかを合意して並行して進めることができますので、こちらの方が効率が良いのは当然です。
ここから先は、A~Cの順に、仲間が重要である理由と、どうやって仲間を作れるのかについて、お話をしていきたいと思います。

 

A. お客様

企業における、お客様とは、企業が提供する商品に対して対価を支払ってくれる存在です。企業はより多くの商品に対して対価を支払っていただくために、お客様のNeedsの把握や、意思決定者へのアプローチ等、対価をお支払いいただく確率を上げるための活動を進めます。
もし、お客様の中に仲間がいて、その人がNeedsや意思決定者の属性について正確な情報を共有してくれたらどうでしょう?提案~成約に至る確率は劇的に上がりますよね?という事で、お客様内の“仲間”が大切であることは自明の理です。

 

さて、ここから先は、仲間を作るために“出会う”/“信頼関係を築く”/“価値観を共有する”の3ステップの具体的アプローチについてお話をさせて頂きます。

 

“出会う”については、アポを取るという事になりますが、これについての深堀はメディアを使ったマーケティング手法等の書籍に譲りたいと思いますので、ここでは深く言及しません。

 

“信頼関係を築く”/“価値観を共有する”についても、このことの重要性は皆さんよくご存じだと思いますし、ケースを洗い出していくときりがありません。多くの日本企業は、お客様を大切にしますので、日ごろから“信頼関係を築く”活動は十分されているとも思いますので、このブログの中では新規のお客様を獲得するシーンに焦点を当てる事にします。

 

新規のお客様から、できるだけ大きなビジネスを獲得しようと、都合の良い(?)事を考えたときに、重要になるのはどのような人をターゲットとするかです。
(話を進める前にお断りをしておきますが、実際のビジネスにおいては地道で継続性のある活動が最も確実だと信じております。ただ、このような都合の良いビジネスにも傾向があるならばそれを日々の活動に活かすヒントはあるかもしれない、、、という観点でお話ししております)

 

話を戻しますと、“信頼関係を築き”、“価値観を共有する”相手を誰にするかがポイントということでしたね。より大きなビジネスの獲得を狙おうとした場合、対象とする相手は以下の要素を持っている人が良いでしょう。

 

・優秀な人(頭の切れる人)
・ある程度の規模のプロジェクトに関する裁量を持っている人

 

まず最初の“優秀な人”を対象にしたほうが良いという理由ですが、これは単純な話、失礼な表現になるかもしれませんが、“出来の悪い社員”は大きなお金を引き出せないからです。一般的に“出来の悪い社員”は上司、社長を恐れています。いつも怒られているからです。一方、優秀な社員は、(会社の規模にもよりますが)社長に対しても物おじせずに意見を言います。つまり上層部から期待をされている可能性が高いので、場合によっては社長に直談判して予算を取ってくるようなこともできたりするのです。
2番目の“ある程度の規模のプロジェクトに関する裁量を持っている人”については、当たり前の事ですね。予算枠と直接持っているひとであれば話は早いですから。でも、直接の予算枠を持っていなくとも、社内で企画、提案できる人であれば、アプローチする価値はあると思います。

 

上記のアプローチで、ターゲットを見つけることができた場合、さらにその人が以下の特性を持っていればベストです。

 

・なにか成果を早期に出さねばならない立場にある人
・社内にあまり仲間がいない人

 

例えば、外部から招聘された企画担当執行役員のような人はピッタリです。企画部門は優秀な社員でないと務まりませんし、そこに外部から責任者として招聘されるという事は、鳴り物入りで入社しているかもしれません。一方で、社長は強い期待をかけているはずですから、その期待に応えるために、その人は“成果”に飢えています。ただ、別の視点で社内を見渡すと、必ずしもこの方を好意的にみている人ばかりではありません。やっかみもあるかもしれませんし、「こいつはどこまでできるんだ」と様子見をしているのかもしれません。

 

どの会社(顧客としての)にも、自社にとっての競合は存在します。非常に関係が長いお抱えの業者のような競合がいるケースもあります。但し、上記のような“企画担当執行役員”は何か新しいことを求められているので、付き合うべきパートナーも、これまでの業者以外に目を向けていることが少なくないです。これが新規顧客もしくは既存顧客だけど新規ビジネスで関係を拡大することを狙っている会社にとっての大きなチャンスになるのです。

 

このようなチャンスを虎視眈々と普段から狙っている人の例を挙げるとすれば、お隣の大国であるC国ですかね。

「急に政治の話!?」

と思われるかもしれませんが、いえいえ、話は繋がっています。C国政府は自国の利益の為であれば手段を問わない点で、批判の的になることも多いですが、逆に言うと“謀略”という観点では、彼らの右に出る者はいないかもしれません。彼らが虎視眈々と狙っているタイミングは、国家元首や国の行政の長、つまりは大統領や首相が変わるタイミングですね。このときの各国の新しい長は、成果に飢えていますから付け入るスキがあるのです。インドネシアのジョコ・ウィドド大統領やフィリピンのドゥテルテ大統領などは、着任直後に自国の発展の役立つかもしれないオファーで買収を受けていたと思われます。インドネシアで、日本がほぼ受注できるだろうと思われていた高速鉄道プロジェクトが突然、C国に奪われたニュースについては、ご存知の方も多いと思います。C国は無償で工事をやるとオファーしたんですよね。。。ただ、その後工事は遅々として進まず、C国は信頼を失い、ビジネスチャンスは再び日本に来ているようですが。

 

このように、お客様内の変化にアンテナを張り巡らせて、ターゲットを決めたら、そこでやることは、

 

“信頼関係を築く”/“価値観を共有する”

 

です。“優秀な人”は“優秀な人”の話しか聞こうとしないので、これはこれで大変なのですが、、、まあ、まっとうな話からすれば、来るべきチャンスに備えて、我々は常日頃から勉強をして自分を磨き続けることが大事という事になります。と言ってもそれは一朝一夕にできることではないので、ここではオーソドックスながらも実践可能な事のみをお話しします。
お客様社内の人的ネットワークを駆使したりして、なんとかターゲティングした“優秀な人”のアポが取れたら、さらに情報収集して、その方の役割、関心事、懸念点、職歴等可能な限り集めたうえで、以下の内容を含んだ資料を用意します。

 

・想定課題(その企業の課題で、その方が取り組む可能性があるもの)
・想定課題に対する解決策案

 

“想定課題”については、その会社が目指している方針と、現状に基づき課題を複数上げてみます。方針や現状は、その会社のHPやヒアリングした内容、なるべくお客様自身の声から引用した方が良いです。その方が否定される可能性が少ないし、お客様自身も受け入れやすいからです。
その上で、解決策案を提示し、ディスカッションを深めます。このあたりの営業手法は様々なアプローチがありますが、特にヒアリング手法においてはSPINという手法が有名だし、有効だと思います。興味がある方はSPINでググればすぐに出てきます。
ヒアリングに重点を置き、次にソリューションをご提示するというステップが踏めると一番良いのですが、お客様も忙しいですし、漠然とした話だけではあまり話も盛り上がらないことが多いので、私の経験上では、具体的な課題に対して具体的な(できれば尖った)ソリューションをぶつけたほうが、優秀な方は反応するような印象があります。たとえそれが、お客様の現在の課題から外れていたとしても、想定課題の導きだし方が論理的であり、ぶつけたソリューションの差別化がきちんと説明できているると、

「それとは違うんだけど、こんなのある?」

とお客様からリアルな課題を話してくれることがあるからです。この課題に対しては、

 

・なぜそれが必要なのか?
・それが解決しないとどんな問題が起きるのか?
・解決するとどんな未来が待っているのか?

 

について十分確認し、強く同調するようにします。そして、これに対して全社/部門をあげて2回目の提案にかけるのです。上記の3種の質問を通して“価値観を共有し”、2回目の提案の内容がよければ“信頼関係構築”の1歩が踏み出せるでしょう。そして、孤独なその人はあなたを仲間だと認めてくれるでしょう。

 

B. パートナー企業(協力会社)

ここでは、“出会う”、“信頼関係を築く”、“価値観を共有する”すべてに言及するのではなく、ポイントを絞ってお話をしたいと思います。パートナーとの関係強化の方法は、創業期と事業が軌道に乗った後では当然異なりますよね。創業期は、色々と足らないパーツもあり、もがく中で出会いがあり、そこで思いを共有する相手と協力関係を築くことになりますので、ノウハウ的な事を言うと野暮な感じになりますから、敢えてここではパッションが大事!っというにとどめましょう!注意点を上げるならば、相手のメリットを熟考することですかね。思いを語り合って熱く盛り上がったとしても、そこはビジネスですから、Win-Winの関係が成り立っていないとうまくいかない。偏った依存関係は長続きしないものだと認め、相手にとってどれだけのメリットを提供できるかを随時検証し、思うように進まない時はまめに報告をして、相手のストレスを和らげる等の気遣いも大事になります。

 

一方、成熟した企業においては既にパートナー企業もいますので、この関係をより効率的に回すことについてお話しすると、自社の業務のプロセスにパートナーも組み込んでしまう事がおすすめです。営業であるなら、フォーキャスト会議にパートナー企業にも参加いただき、その場で役割分担してしまうと効率的です。追っている数字も共有できれば、相手も責任感を感じるようになります。また、任せた案件は任せきったほうが長期的には良い結果につながると思います。任せた案件はある一定の勝率で計算し(つまり一定の負け率は覚悟する)、進捗報告だけを受けるというやり方です。個々の案件が危なくなったときに、再度こちらで深く案件に入ってしまうと、結果勝率は上がるのですが、パートナーは自信喪失して、結果的に総合的勝率は落ちるかもしれません。
ただ、すでに関係のあるパートナーでも、新商品の取り扱いを広めたいといったシーンでは、“A.お客様”の時と同様、“優秀な人”(もしくは力のある人)との関係を強化し、目標を共有するというアプローチが必要です。事務的に扱い商品に登録してもらい、あとは相手の営業任せという形ですと進みません。導入初期の段階では意図的に数字を吊り上げる取り組みが必要です。パートナーの営業に影響を及ぼしたいなら、そもそも影響力のある人を取り込む方が早いという事です。

 

C. 社内

最後に社内です。ここで、3つのステップについて改めて確認しましょう。

 

・出会う
・信頼関係を築く
・価値観を共有する

 

これらをうまく機能させ、“仲間”を、事業成長を効率的に進めるための最強の相棒になってもらう為に必要なものは、

 

「戦略策定」
「業務プロセス定義」

 

です。“戦略”とは「儲けうるための方針」です。“業務プロセス”は「儲けるための仕事の進め方」と考えると良いでしょう。会社の最終的な目標は利益の最大化(儲けの最大化)であることは自明の理です。その上で、“どういう方針で、どのように儲けるのだ”ということが社内で共有されていないと、社員間で事業を進める上での土台が共有できていないことになりますので、信頼関係など築きようがありません。

 

例を挙げつつ、もう少し具体的に説明させて頂きます。
例えば、会社の中期目標が3年後に営業利益を50憶にする。というものだったとします。そして、これをどうやって実現するかについては

「それはお前ら社員が考える事だ!」

と社長が社員に丸投げしてしまうと、

 

Aさんは、
「利益が会社にとって最も大事だから利益率の高い商品①に注力しよう」
と考えるかもしれません。

 

一方でBさんは、
「売上が上がらないと結局利益も上がらないから、数がさばける商品②に注力しよう」
と考えるかもしれません。

 

さらに、Cさんに至っては、
「仕事は楽しくやりたいので、自分が好きな商品③に注力しよう」
と考えるかもしれないわけです。

 

魅力的な市場には必ず競合がいます。その中で勝ち残っていくには、フォーカスするエリアを明確にし、その上で鍛錬を重ねることによって、製品自身、売り方、アフターサービス等も含めたWhole Productの視点で強化を重ねることによって、やっと差別化が可能になり、シェア向上につながる訳ですが、社員がバラバラな方向を向きながら販売活動を進めていたら、力が分散されてしまいます。結果、差別化は図れず、伸び悩むわけです。

 

その為、“戦略”(儲けるための方針)と“業務プロセス”(儲けるための仕事の進め方)を明確にして力を集結する必要がある訳です。これが定義されると、社員として進むべき方針と踏むべきプロセスが明確なります。そうすると、“価値観の共有”ができるだけでなく、この方針とプロセスに対して、きちんとこれが実行する為に、お互い注意を喚起しあったり、補完しあったりした結果、“信頼関係”の強化にもつながるのです。正しい方向と、仕事の進め方が共有されていないと、何を正として「こいつは信頼できる奴だ」と判断してよいかが分からなくなってしまいます。
また、“業務プロセス”と“戦略”はセットです。片方だけでは機能しません。
昔からやっている“業務プロセス”を明文化して共有したとしても、それは非効率で、儲けを生まないかもしれません。5年前は正しかったとしても、今は経済環境が変わり、儲けを生まないかもしれません。儲けを生まない業務は悪です。なので儲ける方針である“戦略”の立案は必須になります。但し、“戦略”だけだと、それを効率的に遂行するすべが分かりません。どの組織がどの部分をどのように連携するのかについて漏れなく整理した上で、日々の業務プロセスに落とし込む必要があります。

 

私は、この戦略と業務プロセスは、外部のコンサルタント等に設計を委託するのではなく、自社でリーダーを擁立し、策定する、そして環境変化に応じて調整をしていくことが、持続的成長のカギとなると思っています。
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今回は、物事を効率的に実行する為の究極の方法は、AIなどではなく、仲間をつくり、補い合う事だという視点から、「お客様」、「パートナー」、「社内」の状況において確かな“仲間”作りのために必要な事を解きほぐしました。そして、特に「社内」においては、戦略と業務プロセスの重要性をお伝えしましたが、逆に言うと、これがあって初めてAIやDXは有効に機能することになるのです。
次回はAI, DXをテーマにしたお話を共有したいと思います。