8.企業内ポジジョンと役割

本日のテーマは“企業内ポジションと役割”です。会社の中には“社長”、“執行役員”、“部長”、“課長”、“リーダー”及び“各種専門職”等様々な役職/ポジションが存在します。
皆さんは、会社が効率よく儲けを生み続けるために、これらの人々はどのように役割を分担していくのが適切だと考えますか?
「え?私の考えですか?」 私はですね。。。よくわかりません!!(笑)



 

というのも、
様々な会社とお付き合いをさせて頂くと、社長と社員の関係は会社によって千差万別であることに気付きます。本当に有能な方が社長として君臨して、グイグイ社員を牽引しているケースもありますし、2代目以降の社長のようなケースだと、組織の調和を重んじてはいるものの、実際に会社を支えているのは、周りのマネージャークラスだったりするケースも珍しくありませんし、あるいは、非常に緻密に役割分担が定義されていて、各担当は自分の仕事の専門性と責任を追及し、高度に連携しているケースも外資系大手などでには見られます。ただ、そんな外資系務めだった人が組織のルールが曖昧な会社に転職すると、何をしてよいか分からなくなってストレスで辞めてしまった。。。という例も多く耳にします。
つまり、1つの正解というものは存在しないと思うわけです。

 

とは言っても、“適切な役割分担は会社による”・・・ですと話が終わってしまうので、もう少し掘り下げていきたいと思います。そもそも、会社に組織や役割が存在する理由は、それが決まっていた方が、より効率的に会社の目標を達成できるだろうと考えているからに他なりません。

 

“会社の目標”という言葉が出てきましたが、その前に、そもそも“会社はだれ他の為のものか”について考えたいと思います。
一般的に、会社は株主のものと言われますが、これは誰が会社の所有者かという視点から考えた場合の答えですね。でもこの答えは少し退屈というか、、、つまらないですよね。ワクワクしない答え。。。

 

そもそも何故、会社で働くんですかね?お金?そう、つまりは生活の為ですよね。では、生活できるお金が手に入れば、みんなそれで満足なんですかね?ちょっと違うような気がしますよね。+αが欲しいですよね。何でしょう?恐らく“誇り”を維持する事が+αなのではないでしょうか?“仕事よりも趣味が大事”というような人も、結局はその趣味の世界において、人よりも秀でている自分を見つけることで満足を得ているのだと思います。そう考えると、1日の時間のほとんどは会社で過ごす人が多いわけですから、会社で働くことで、

 

・お金が稼げる
・誇りが持てる

 

が実現したら、満足なんじゃないですかね?逆に、この会社で働いたら、
「お金が稼げる上に、誇りを持った人生がすごせるよ」
と言われたら、そこで働きたくなるんじゃないですかね?そういう夢を持った人が集まっている会社は、誰の為のものかと問われたら、社員の為(経営者も含む)のもの・・・というのが自然な発想だと思います。
“会社は株主のもの”とか“会社は社会/顧客の為のもの”とかいうのは、その方が、継続的に利益を創出する必要性を説明するには都合が良いからです。
本質的に、人間は自分が楽しい事しか続けることができませんし、楽しいと感じて実行することは、結果として集中力も増し、望ましい結果を得られることも多いです。
なので、“会社は社員の為のもの”としましょう!!

 

前置きが長くなりましたが、このことを念頭に置いて、企業内ポジションとその役割について考えていきます。

 

前述の通り、1つの決まった答えがあるわけではありませんので、会社を各々のステージごとに分類して考えていくことにしましょう。

 

創業期:事業を軌道に乗せるとき

0を1にする事が、創業期にすることです。利益構造が確立され、お客様層を拡大できる見込みが持てたときに、売上の拡大に伴い、利益も確実に確保できる仕組みを考える事も、このステージでの重要な仕事です。

 

成長期:組織基盤を作るとき

創業期に確立した販売モデルをより多くのお客様に展開することで、事業を拡大するステージです。確立した販売モデルと効率的に動かすために組織を作ることが重要な仕事になります。

 

発展期:事業を進化させるとき

確立した事業が陳腐化しないように、より顧客にとって利便性の良い仕組みやサービスを考えるなど、Whole Productの観点で事業を進化させることが重要な仕事です。

 

成熟期:経営理念を見直すとき

当初の事業の衰退期。当初の事業の延命と共に、新規のビジネスを創出するといったマネジメントサイクルを確立させることが重要な仕事です。

 

これらの各ステージごとに、企業内の役割分担を考えていきます。

 

創業期:事業を軌道に乗せるとき

このステージは経営者がほぼ全てをこなします。利益を生むためのビジネスモデル及び、商品/サービスを顧客に提供する為の一連の仕組みも考えます。その仕組みを遂行する為に必要だが、社長一人ではできない事を従業員が補完することになります。
例えば、SaaSのベンチャー企業であれば経営者とプログラマーのような組み合わせです。

 

成長期:組織基盤を作るとき

このステージにおいて必要な役割は以下のようなものになります。
A.販売モデル横展開時の利益モデルの確立
B.見込客への認知拡大~提案・販売活動
C.採用活動
D.利益モデルを構築する各専門組織の活動(経理+サプライチェーン周り)
E.事業管理活動(予実管理)

 

発展期:事業を進化させるとき

このステージにおいて必要な役割は以下のようなものになります。
A.見込客への認知拡大~提案・販売活動
B.採用活動
C.利益モデルを構築する各専門組織の活動(経理+サプライチェーン周り)
D.事業管理活動(予実管理)
E.顧客管理活動
F.サポート系各専門組織活動(法務、人事、財務、IT等)

 

成熟期:経営理念を見直すとき

このステージにおいて必要な役割は以下のようなものになります。
A.販売モデル横展開時の利益モデルの確立
B.見込客への認知拡大~提案・販売活動
C.採用活動
D.利益モデルを構築する各専門組織の活動(経理+サプライチェーン周り)
E.事業管理活動(予実管理)
F.顧客管理活動
G.サポート系各専門組織活動(法務、人事、財務、IT等)
F:ポートフォリオ管理活動
G:研究開発活動
H.広報・宣伝活動
I:市場調査活動

 

これらが全てを網羅しているわけではありませんが、主要な役割はこんなところではないでしょうか。ただ、実際は創業期も成熟期も、効率的に生産~販売のサイクルを継続的に回していこうとしたときには、必要な役割・活動は変わりません。しかし、事業が軌道に乗り、お客様の数が増えると様々な事が起り始めます。これまでのやり方を繰り返してどんどん新しいお客様を増やしたいのに、昔からのお客様からのクレームに対応できていなかったために評判が落ちるかもしれません。評判が落ちて業績が落ちたといって、増員した社員を理由もなく解雇することは簡単ではありません。その為に、社員にも戦力アップしてもらうために評価や、教育が必要になります。せっかく教育にお金をかけたのに、どんどん退職されてしまっては元も子もありませんから、社員にとって魅力を持たせるために、権限を委譲することが必要になるかもしれません。しかし、権限移譲により適切なリスク管理がなされないまま大きな投資に踏み切って、倒産の危機に陥る訳にはいきませんから、適切なポートフォリオ管理の仕組みが必要になるかもしれません。しかし一方で競合がものすごいスピードで新商品を出してくるので、その中で生き残るために、今の会社規模を維持する為にも意思決定のノウハウをAI化し、リスクを避けつつも高速に意思決定できるための仕組みが必要になるかもしれません。

 

このように、0→1を経て1→2→3もしくは1→2→2‘という活動を際限なく繰り返すのが企業です。つまり明日は今日の繰り返しではなく、新しい何かが起こる訳です。今日を維持して新しい明日に対処する為には、新しい何かをする必要が出てきます。このようなメカニズムで組織は複雑化していくわけです。経営者がAIのような頭脳と鷹の目とテレポーテーションの術を持っていれば多くの役割は経営者一人で済むかもしれませんが、実際はそんな人はいませんし、いたとしてもせっかく努力して会社を大きくしたのに、一生休暇が取れなくなってしまいます(汗)。
このように複雑化する企業活動を効率的に回すためには、活動をカテゴライズして、各々のカテゴリーの専門家を割り当てること(役割分担をすること)が必要になります。そして、忘れてはいけないことは、社員の能力は均一ではないという事です。全ての社員が一定水準以上の仕事をする為には、仕事の内容を明文化してそれに従うようにしなくてはいけません。
仕事の内容を明文化したものが、“業務プロセス”です。

 

業務プロセスは、以下の内容を明文化する必要があります。

 

・業務の目的
・業務が提供する機能
・なにをインプットするか(情報、モノ)
・なにをアウトプットするか(情報、モノ)
・遂行する組織
・ルール

 

さらに、インプットはどのプロセスでアウトプットされたものなのか?アウトプットしたものはどのプロセスのインプットとして利用されるのかについての情報を付記することにより、プロセスとプロセスの繋がりが分かり、実行可能な記述となります。

 

Tech-Dabが提供するBPOSは業務プロセスの雛形が既にデータベースとして用意されていますので、一から業務プロセスを作成しなくても、コピーして修正することにより短期間で現在の業務プロセスや、改善された業務プロセスを定義する事が可能になっています。興味がある方はこちらをクリックしてください。

 

業務プロセスを自分たちで定義・作成すると、責任が生まれます。業務が効率化して利益に貢献できれば、誇らしい気持ちになれますし、もっともっと良くしようという気持ちになります。うまくいかなければ、改良を検討しようと考えるでしょう。
業務プロセスを明文化しないと、これまでの暗黙知を繰り返すことになりますから、どうしてもこれまでやり方にこだわってしまいます。業務プロセスを自分たちで整理し考え定義・作成する事を通して、

「これまでの業務を間違わず遂行するのが重要」

という考えから、

「より多くの利益を創出する為に最適化された業務を考える事が重要」

という考え方にシフトする事ができます。つまり会社をよくするのは自分たちだという事を再認識します。この状態になってはじめて

 

“会社は社員の為のもの”

 

として機能し始めるのだと思います。
余談ですが、業務プロセスを定義・作成する方法として、外部のコンサルティング会社を活用するという手段もあります。この手段においては、そのコンサルティング会社に丸投げをしてしまって失敗するケースをよく目にします。結局、人が作ったものを受け入れるという姿勢になってしまいがちなので、“社内のこれまでの業務を間違わず遂行する”という姿勢と変わらなくなってしまうわけです。
もちろん、コンサルティング会社もそうならないように、社員を巻き込んだ体制を作るなど工夫はしていますが、ビジネス環境の変化が激しい昨今においては、業務プロセスの見直しの活動は日常化していくでしょうから、自社で進める方が、より強くて楽しい会社になるには、結果的に近道だと思います。

 

社員が生き生きと働き、且つ組織の全メンバーが、目的に向かってそれぞれ自己決定を行う自律的組織として、最近ティール組織という概念が注目を浴びています。この組織はよく生命体に例えられます。つまり、ティール組織とは、

 

“各メンバーが体の組織のように自律的かつ調和的に協働する”

 

という世界観のようです。
心臓は自ら鼓動を起こしてポンプとして血液を体の末端まで送り込む。腎臓はリンパ液によって集められた不純物を浄化する。胃は取り入れた食物を消化して栄養として体に浸透できる状況にする。そして各部位が損傷した時は補う合う。このような活動は、いちいち脳が明確な指令をだして動いているのではなく、自律神経により動きます。つまり各臓器は自律的に各々の活動を全うする。このような組織をティール組織と呼ぶのだそうです。
しかし、生命体の各部位は、確かに自律的に活動していますが、実はその背後には、切ないほどに各臓器があらがう事の出来ない絶対的な支配者が君臨しています。

 

それは、“遺伝子”です。

 

確かに、各臓器は自律的に活動しますが、これが全く無秩序に活動されてしまっては、体全体にとって不都合なことが起こってしまいます。秩序を保つためのあらゆるルールが遺伝子には書かれているわけです。このルールはあらゆる例外的な状況も想定しているように見えるほどの膨大な情報です。

 

さて、話を会社の組織にもどすと、“業務プロセス”を秩序を保つ手引きとして自律的に活動する組織に活かすことができると思いますが、あらゆる例外を明文化することは現実的ではありません。先ほども述べた通り、明日は今日の繰り返しではなく、何か新しいことが起こります。それに対処する為には、会社の方向性を共有する事が重要になります。それが“企業理念”と“戦略”になります。特に”企業理念”は”遺伝子”に相当する不変のものです。

 

ティール型組織にせよ、従来型組織ににせよ、”企業理念”、”戦略”、”業務プロセス”が企業が生産的に活動を続けるために必須のものであるという事がご理解いただけましたでしょうか?

 

“企業理念”は「その会社が何のために存在するのか」を明文化したものですから、通常は創業者が定義します。それに基づき、「どのような方向で儲けを出すか」について明文化したものが”戦略“です。”戦略“策定には、会社のキーのメンバーを参加させるべきでしょう。業務プロセス同様、そのほうが責任が生まれるからです。なお、戦略策定についてもBPOSは機能を提供しておりますので、興味がある方はこちらをクリックしてみてください。

 

今回は“社員の為の”会社という視点で、会社が有効に機能する為に“戦略”と“業務プロセス”が重要であることをお話しさせて頂きました。そしてそれを定義・作成するのは社員だという話もさせて頂いたのですが、、、、理想は全員参加なのですが、実際は有能な社員、有能に見える社員、普通の社員等様々です。この貴重な社員の方々をどのように経営参加させるべきかについてを、次回のテーマとさせていただきます。