21.勇気と恐怖

突然ですが皆さん、“豊かで充実した人生”と、“神経過敏で戦々兢々とした人生”ではどちらの人生を選びたいですか?当然、前者ですよね?であるならば、どうしたら“豊かで充実した人生”を送れるかについてのシンプルな答えを知りたくないですか?今回のブログはそれに関するものです。



 

先に答えを言ってしまいますと、“勇気”に満ちた人生を送ることによって“豊かで充実した人生”が送れることになります。逆に勇気を失ってしまうと、常に悲観的で消極的な選択しかできなくなり、やがて勝手に自分が想像した起こってほしくない世界に取込まれてしまいます。

 

「お前は預言者か!?」

 

と怪しがられないように丁寧に話を進めていきたいと思います。
曖昧さを排除する為に、まず“勇気”という言葉の定義から入りましょう。Wikipediaで“勇気”を調べると以下の通り記述されていました。

 

“普通の人が、恐怖、不安、躊躇、あるいは恥ずかしいなどと感じる事を恐れずに(自分の信念を貫き)向かっていく積極的で強い心意気のこと。”

 

つまり虚心坦懐に自分の信念に向かって進んでいく様を「勇気がある」と呼ぶわけです。人生にしても、仕事にしても、家庭にしても、自身が進むべき方向を定め、その方向に向かって躊躇なく進んでいくことにより“豊かで充実した人生”が送れるということになります。当たり前ですよね?やると決めたことをやっているわけですから。ところが、、、これを妨げる邪魔者が頻繁の登場し、多くの人、あるいはほとんどの人を勇気から遠ざけ、悲観的で消極的な選択に導いてしまうのです。それは何でしょうか?

 

それは恐怖です。

 

ビジネスにしても、スポーツにしても、芸術にしても、必ずそこには勝負・競争があります。そして勝負があるところには必ず勝者と敗者が存在します。つまり勝負に関わる意思決定をするときにリスクがゼロという事はあり得ないわけです。そこで恐怖におびえて被害を最小に抑えることにこだわるか、勝負に出るかが“豊かで充実した人生”を送り続けられるか否かの境目になるのだと思います。

 

「ちょっと待って!無理して勝負に出て取り返しのつかない結果になることもあるだろ!」

 

と思っている方・・・いますよね?その通りです。全ての勝負でギャンブルする奴はアホと言われちゃうし、結局、落伍者になる可能性が高いと思います。では、何をもって勝負するか否かを判断すべきなのでしょうか?プロ野球を例にして考えてみましょう。

 

シーズン序盤。各チームの順位は未だ団子状態。ライバルチームとの一戦。あなたはピッチャーです。2-0でリード。9回裏相手チームの攻撃。2死・ランナー2・3塁。バッターは4番のホームランバッター。あなたは勝負しますか?敬遠で逃げますか?(監督の存在はここでは忘れましょう)

 

あなたが、まかされた仕事のみ粛々とこなすタイプであれば、確率論から言って敬遠するでしょう。
しかし、あなたがエース候補で、この4番バッターを今後どう攻略していくかが優勝のカギとなると考えていれば、勝負をして少しでも相手のデータを取ることを選ぶでしょう。

 

つまり、何を目指しているかによって勝負所は変わるのです。さらに、あなたが高い志を持って早い段階から勝負を積極的にしていると、相手の情報を得られるだけでなく、選択肢も増えていきます。例えば、この例と全く同じ状況が優勝をかけたシーズン最終戦だったらどうでしょうか?

 

もし、あなたがこのホームランバッターとの勝負を避けていたなら、十分な攻略法も見つかっておらず、敬遠以外の選択肢はありません。だれかに挑発されて無理してギャンブルに出ても大きな失敗をするだけでしょう。一方、あなたが勝負を積極的に挑み、結果攻略法をつかんでいたなら、ここで勝負することもできますし、結果抑えることができたなら、大喝采を浴びることになるでしょう。負けたとしても“名勝負”として語り継がれることになるかもしれません。

 

“勇気”を持つことによってほかの人では得られない経験や情報を得ることができ、さらなる高みに上ることができる訳です。逆にいうと、高い志を持つことによって“勇気”を引き出すことができる訳です。

 

「ちょっと待って。自分以外の人もみんな“勇気”だしてきたらどうなるの?」

 

そんな疑問を持たれる方もいらっしゃいますかね?だとしたら、真剣勝負が増えてさらに日本のプロ野球のレベルが上がり、プロ野球人気が復活するかもしれませんね。実際のところ、本当の勝負は“勇気”と“勇気”のせめぎ合いです。今述べたプロ野球のように、より大きな勇気を引き出すには、より大きな志をもつことが重要になってきます。大きな志を持って、“勇気”をもって日々勝負をしている人は、魅力的で輝いています。そんな人になりたいと思いませんか?

 

例えば、人気絶頂の女子プロゴルファーである渋野日名子選手は、池やバンカーを恐れず、常にピンをデッドに狙ってきます。その勇気にみんな魅了されますし、その勇気があるからこそ勝利を手繰り寄せることができるのだと思います。全英オープンを優勝した時も、12番のミドルホールで見事に池越えのワンオンを成功させ重要なバーディを取ることができました。解説の岡本綾子さんは、これを、”勝負を手繰り寄せた1打”だと言っていました。

 

ビジネス界に目を移すと、今やだれもその勢いを止められないように見えるAmazon。この会社は数年前までは赤字会社でした。成長路線に乗っても安定志向に入らず、顧客の利便性を追求する為に利益を犠牲して積極投資を続けた結果、今の圧倒的強さを手に入れたわけです。これも“勇気”がなければできないことです。

 

さらに、政治の世界に目を向けても“勇気”の重要性がわかります。民主国家の議員にとって最大の恐怖は選挙に落選する事です。その為、ある程度の成功を収めると安定志向に入り、思い切った政策を取らなくなる傾向があります。国民の幸せを考えた政策を訴えたからこそ、国民の支持を得て当選を続けてこれたのに、いつのまにか保身が上回ってしまい、結果的に支持率を落とすという本末転倒な結果を招いているケースをよく見かけます。岩盤支持層は、その政治家の勇気ある発言に魅了され指示しているわけですから、政治家がその戦う姿勢を失わなければ一定の指示は維持できるはずなのですが、“勇気”を失うとそんな当たり前のことも見えなくなってしまうわけですね。

 

如何でしょうか。“勇気”の重要性を感じて頂けたでしょうか?
“勇気”を維持することは簡単ではありません。油断をするとすぐに“恐怖”が頭をもたげてきます。その為、普段から「勇気!勇気!」「勝負!勝負!」などと念仏のように唱えて鍛錬を続けていないと維持できません。そして最も大事なことは「何の為に勇気を振り絞るのか」ということであり、それは「世の中の役に立つ何か」である必要があります。

 

それは「多くのスポーツファンを楽しませ、子供たちに夢を与える」という事かもしれませんし、「先進国・途上国に限らず世界のどこからでも世界中の優れた商品を手に入れて素晴らしい経験をしてもらう」という事かもしれませんし、あるいは「国民に安全で豊かな暮らしを提供する」という事かもしれませんし、または「家族がいつも笑顔でいられる家庭を創る」という事かもしれません。家族も世の中を構成する要素ですから。

 

いずれにせよ、自分以外の多くの人の為に“勇気”を振り絞って働く姿は、とても魅力的ですし、人にも勇気をあたえることができる素晴らしいものだと思います。そしてそれは自分に幸せをもたらしてくれます。