25.最強の営業(その2:アカウントプラン “自社分析編”)

前回に続いて本日も、アカウントプランについて述べさせて頂きます。前回はお客様の分析を通して、お客様自身の課題を深堀し、投資のポテンシャルを洗い出す一連の流れをご説明しましたが、今回はお客様の投資能力を市場と見た場合の自社、つまり皆さんの会社の位置づけの確認をした上で、どのようにシェアを拡大するかのプランを作成する流れについてご説明いたします。



 

お客様内シェア及びホワイトスペース分析:
シェアを知るためには市場の規模を知る必要があります。その為にまずは、皆さんの会社が商品やサービスを提供できるエリアに対するお客様の投資規模を入手する必要があります。当期の投資予算のみならず、過去2年程度の情報も得ることができると、過去のそのお客様に対する売上額からシェアの推移も知る事ができます。ここでそろえるべき情報は以下のようなものになります。

 

・過去2~3年のお客様の投資実績
・そのお客様に対する過去2~3年の売上
・自社のソリューションラインナップとそのお客様に買って頂いているソリューション
・競合他社のソリューション別ヒートマップ(以下にイメージ図を添付します)

なお、情報の入手方法は直接のヒアリングによるものとリサーチ会社からの購入が主な手段となります。また、ヒアリングの際はこれまで主に購入の窓口となっていた部門以外にも、機会が無いかを意識することも重要です。例えば、もしあなたがIT-Solutionを提供する会社だった場合、昨今のAI需要の高まりから、かならずしも購入窓口はIT部門とは限らなくなっているはずです。
一方、リサーチ会社を使うと当然費用はかかりますが、投資規模や今後の投資の方向性等の調査もされており、幅広い情報が入手できます。以前私はIT-Solutionを提供する会社におり、その時に使ったリサーチ会社はGlobalDataという会社だったのですが、対象のお客様に対する情報が50~60ページのレポートにまとめられていました。参考までに目次の一部をご紹介します。

・IT投資の目的とその優先順位
・テクノロジー別の優先順位
・IT Service Providerに対する評価基準
・IT投資金額実績(カテゴリ別)
・今後重視するテクノロジー
・主たるIT Providerとの長期契約一覧
・その他 主たる事業説明、最新ニュース、SWOT分析 etc

 

リサーチ会社の資料は非常にきれいにまとめらえていますが、項目によって精度にばらつきがありますので、今期重視するポイントを決める際の参考にとどめ、そのポイントが正しいか否かは自身でヒアリングをして検証する事をお勧めします。

 

以上を通して、お客様内の自社のシェアと伸びしろを知る事ができます。そして、ご自身の今期の予算と、以下の情報を比較検討の上、当該のお客様から今期いくらの売上を狙うのかを決めます。

 

・今期の自社が占めるソリューションカテゴリの予算
・今期の競合が占めるソリューションカテゴリの予算
・競合と自社の優位性分析

 

今期案件マイルストン及び中期案件マイルストン策定:
今期の目標設定をしたら、今期獲得すべく案件に対するマイルストン及び新規案件の創出に対するマイルストンをまとめます。

 

・今期案件のマイルストン
ここでは、以下のお客様の“購買プロセス”を参考にして「課題認識」~「最終意思決定」までの5つのプロセスのお尻をいつまでに遂行するかを設定し、それぞれのプロセス中に遂行する主たる活動内容を明記します。これを策定することにより、(予定通りに行った場合)今期のいつ頃に幾らの売上が期待できるかが可視化されます。

 

・中期案件のマイルストン
ここでは、前回ブログのお客様分析を参考にしながら、マイルストンを作ります。目安としては予算化の合意を得ることを、Goalとして策定するのが妥当でしょう。各ステップは以下のようになります。

 

A. ターゲットの設定(誰に合うか?)
B. いつまでに誰と一緒に訪問し検討合意を頂くか
C. 想定課題とソリューションまとめ

 

基本的に中期案件の創出は大きなビジネスを創出することを目的とします。したがって、上記のステップは担当営業個人ではなく、マネージャーやエンジニア等、提案に関わるキーマン、外部のアドバイザー等がいればその人も含めてセッションを実施し、お客様の情報をシェアした上で、どのような提案が価値が高いか?その訪問を効果的にするためには誰に同行いただくのが良いか?(部長?本部長?社長?等)を皆で知恵を出し合ってネタ作りをすることが望ましいです。

 

・30日/60日/90日アクションプラン
これまでまとめた今期案件マイルストンと中期案件マイルストンを実現するためのアクションプランを30日後までに実施する事、60日までに実施する事、90日までに実施する事を列挙します。これを四半期ごとに見直していきます。

 

以上のステップを経て前回述べた以下の内容を、根拠のあるプランとして実行を約束するものがアカウントプランです。

 

①今期いくら売るつもりなのか
②現時点でいくら見込めるのか
③こらからいくらの案件をつくるのか
④上記②③に対するアクションプラン

 

次回以降は、実際の個々の案件の進め方や、初めてお会いするお客様向けに用意するネタの作り方等についてご紹介します。