58.もうかる仕事とやるべき仕事

最近の私のブログは時事問題を中心に扱ってきましたが、本日は少し硬派に「生き方」について考えてみたいと思います。と言うのも、今年は年初からコロナ禍に見舞われ、生活を脅かされている人も少なくはなく、これまでに加えて何かプラスアルファを考えないと生きていけなくなるかもしれないと感じるからです。さらに加えて世界を見ても米中の分断は決定的となり、日本に限らず世界の経済は2大経済圏の狭間で大きな決断を迫られることになります。そして我々もその大きな決断を強いられている経済を支えている一人です。




そこで、今後どのような「生き方」をするかということを考えたいのですが、「生き方」そのものをテーマにすると壮大過ぎて、長文になってしまいます。なので本日は“もうかる仕事とやるべき仕事”というテーマにして、ビジネス面から「生き方」を考える事によりフォーカスを絞ることにしました。

 

議論を明確に定義できるようにするために、まずは“もうかる仕事”と“やるべき仕事”について定義づけをしてみたいと思います。

 

まず、“もうかる仕事”ですが、これはシンプルに“よりお金儲けがしやすい仕事”という定義で良いと思います。一方で“やるべき仕事”については、“より世の中に貢献できうる事業であり、その遂行に使命感を感じられる仕事”と定義します。“もうかる仕事”の対局を考えた場合、お金以上(以外)の価値に注目する必要があり、それを網羅的に表現しようとすると“より世の中に貢献できうる仕事”としか表現できなかったことと、そしてそれをやる意味は“使命感を感じる事”以外に思い付かなかったのでこのように定義付けしました。ちなみに「世の中」の定義は人によって様々であり、全世界を対象としても良いし、地域の人々でも良ければ、家族でも良いと思っています。

 

で、“もうかる仕事”と“やるべき仕事”のどちらを選ぶべきかを考えていくわけですが、先に問いの答えを言ってしまうと、「両方」というのが正しい答えになってしまいます。世の中そんなにシンプルではありませんから二者択一で決める事は出来ません。なぜならり「僕は“やるべき仕事”を選びたい!」と言っても、その仕事が軌道に乗るまでは“儲かる仕事(儲けられる仕事)”で凌ぐ必要があったりするわけです。なので、ここではどちらを”主軸”に考えるべきかという観点で考えていきたいと思います。

 

さて、ここで改めて読者の皆さんにお聞きしたいのですが、皆さんは“もうかる仕事”と“やるべき仕事”のどちらを選択したいですか?このブログを読んでくださっている読者の層の方々は分かりませんが、一般的には“もうかる仕事”派が多いのではないかなと思っています。そして私は、“もうかる仕事”を選ぶことは間違っていないとも思っています。なぜならばお金を生まないと経済は循環しませんし、そして私も会社を経営して感じている事ですが、なんだかんだ言ってお金さえあれば悩みの90%程度は解決してしまいます。

 

それでは、“もうかる仕事”を選んだ場合、具体的にどうやればその仕事を見出す事ができて、どうすればそれを継続発展できるのかについて考えていきたいと思います。“もうかる仕事”を見つけるためには、どこに“お金”が集まっているかを探さなくてはなりません。そしてそれが見つかったら、如何にその中で都合よく自分にお金を支払ってくれる層がいるかを見つけ、そこにリーチする事が必要になります。それをビジネス的に一般的な表現で表すと以下の様になります。

 

・市場分析 → STP分析 → 4P分析 → ビジネスプロセスの最適化

 

実にオーソドックスな話ですよね。ちなみにSTP分析や4P分析はマーケティング用語ですがググればすぐに出てきますので、このブログ内での説明は割愛します。
実はこのアプローチをとった場合、STP分析/4P分析を通して市場のNeedsを分析する必要がありますから結局は“やるべき仕事”の一部である「世の中への貢献」をすることになります。ただ問題なのは、幸運にも市場のNeedsを掴んだ後の次のアクションです。簡単に言ってこの後は以下の選択をすることになります。

この分かれ道で、初志貫徹じゃないですけど、“もっともうけたい”と言う選択をする人について考えたいと思います。このような選択をし続ける人は、結局は何をやりたい人なのでしょうか?おそらく、

 

ラクして楽しくいきたい!!

 

という事なのだと思います。実は私は50代前半なのですが、最近年の近い友人からよく、

 

「いつになったらラクして生きていけるんだろうね?」 とか
「いったいいつまで働かなくちゃいけないんだろうね?」

 

といった言葉を聞くようになりました。多くの人は早く十分なお金を蓄えて、ラクな人生を生きたいと考えているようですね。ここで私が数年前に見た、30代半ばで株のトレーダーとして大成功し、一生遊んで暮らせるだけのお金を手にし、Early retireをした男性の動画の内容をご紹介したいと思います。

 

彼は30代半ばでトレーダーとして大成功し、数億円の資産を築き、悠々自適の生活を選びました。周囲の友人の多くが彼をうらやみ、集まって来たそうです。暫くの間は話題や取巻きを欠く事もなく、毎晩のように飲み歩いていたようです。しかしそのような楽しい毎日はそう長くは続かなかったと言います。彼自身は時間を持て余しているのですが、周囲の友人は普通の人ですから、そんなに暇な人はいない訳です。そして徐々に置かれている環境の違いからか、話もだんだん合わなくなり、徐々に友人たちは離れていったと言います。刺激を求めて海外に移住するも、同じことが繰り返され、次第にアルコールに依存する日々が続き、最終的には稼いだお金も底をついてしまいました。

 

もともとこの方はトレーダーとして成功するだけの実力の持ち主ですから、その後は「これではいかん」ということで再度仕事をはじめ、いまでは普通の生活を送っています。

 

この経験談からの学びは、「人間は自分単独では幸せになれない」と言う事だと思います。もしも多くの人を一生つなぎとめるだけの金があれば死ぬまで遊んで暮らせるかもしれませんが、普通にEarly retireした程度の金額では人を一生つなぎとめる事なんて無理です。

 

少し極論かもしれませんが、「ラクして生きたい」という理由で“もうかる仕事”を選択する事は、幸せな人生に結びつかないと思います。

 

次に、“やるべき仕事”、つまり“より世の中に貢献できうる事業であり、その遂行に使命感を感じられる仕事”を選択した場合の事を考えていきたいと思います。いずれにせよ“仕事”ですから、食っていけるようにしなければなりませんので、市場を見る必要がある事は同じです。しかし「多くの人が参入している市場」への参入は、他の人がやっている事と同じような事をするわけですから、“使命感”は感じないかもしれませんね。冒頭に、貢献する対象の「世の中」の大小は問わないと定義付けました。従って、対象とする市場の大小は問わないことになるでしょう。このようなことを考えると、“やるべき仕事”を選択する人は、

 

・規模は小さくてもあまり他社がやっていない(もしくは参入していても課題解決には不十分)な市場に参入する
もしくは
・今までにない市場を作る事を選ぶ
という事になるでしょう。

 

この事を一般的なビジネス用語で表現すると、前者は「ニッチ戦略」となりますし、後者は「イノベーション」と表現できるでしょう。使命感を持ってとりかかる“やるべき仕事”はそれだけ“やりがいのある”仕事とも言えそうです。しかしながら、同時にこれは非常に困難な道でもあります。何故かと言えば、周囲の理解を得にくいからです。

 

例えば、すでにある市場における、周囲からも分かり易い事業展開は、以下の様に1次元の図で表す事ができます。

つまり、目標地点にたどり着くまでの道筋はこれまでの延長線上にあり、VCも比較的にリスクを感じず投資ができ、VCにより途中地点まで運んでもらえれば、あとはその勢いだけでたどり着くことができるようなイメージです。(実際にそんな簡単なビジネスがありませんが 笑)

 

これと比較して、イノベーションを伴うような周囲にとって理解が難しいビジネスの事業展開は以下の様な2次元のイメージになります。

アイデアだけでは辿り着けない場所に目標があり、VCからの支援だけでなく、大きなエネルギーが必要になります。(その為結局VCもお金を出しにくいのですが・・・)
そして、そのエネルギーの源泉は“使命感”ということになるのだと私は理解しています。

 

そして、実は私は“やるべき仕事”を選びたいタイプの人間です。その理由は別にここまで述べてきたような理屈っぽい話ではなく、単にその方が“楽しい”し“前向きに生きられる”からです。ここで述べている“使命感”とは先に述べた通り「より世の中に貢献する」という使命感です。「世の中」の規模は人それぞれでよく、ある人にとっては家族、またある人にとっては地域の住民、そしてまたある人にとっては世界中の人々でも良いわけです。しかしこれらの「世の中」を分解していくと最終的には個々人の集まりになります。つまり「世の中に貢献する」とは、”ある個人の為の何か良い事”をしてあげる事です。それが1人~70億人までの幅があるだけです。そして良い事をしてあげると、「ありがとう」という言葉をもらえます。「ありがとう」をもらうと、人はなぜか無条件に喜びを感じます。より多くの人から「ありがとう」をもらう事ができれば、より大きな喜びを感じます。私が“楽しい”といったのはこのことです。たくさんの「ありがとう」をもらう事はとても嬉しくもあり楽しい事だと感じます。

 

しかし、その「ありがとう」の数をより増やそうとすると、“学び”・“考える”事が必要になります。相手が何をして欲しいのかを知る必要があるし、それに応えるためにはどんな手段があるのかを調べなくてはならないからです。そしてこの“学び”と“考える”は終わりのない活動になります。

 

ここで皆さん考えてみてください。

 

「皆さんは自分がいつ死ぬか予言できますか?」

 

できませんよね?
読者の皆さんが40歳だったとして、明日不慮の事故で無くなる可能性もありますし、あと50年健康で生き続ける可能性だってある訳です。そしていつ死ぬかわからないのであれば、“学び”と“考える”を通して自分を磨き続ければよいと思いませんか?私は50代前半ですが、自分の思考力や知識、記憶力が若い時より劣ったと思ったことはありません。“学び””考え“続ける事は自身が進歩し続ける事だと自覚しています。そう考えると、”学び“”考える“を続けるという事は、たとえ明日死のうが、50年後に死のうが、貴方が死ぬ瞬間が”もっとも進歩している自分“なのです。こんな充実した人生ってないですよね。

 

「余生」などと言うことを考えると、ぽかっと空いた時間に「自分の人生はなんだったのだろうか」なとと余計な事を考えがちになりますが、つねに“学び”“考える”を続けて成長を続けていれば常に最高の状態で終わる準備ができていることになります。私はこれが”人生を楽しく全うする”為に必要な唯一の方法だと思っています。

 

皆さんは、“もうかる仕事”と“やるべき仕事”・・・どちらを選びますか?