12.研修を実践に活かす仕組み

今回のテーマは“研修を実践に活かす仕組み”となっていますが、多くの方が企業内研修を受けた経験があると思います。企業内研修でなくとも、仕事に役立ちそうな外部研修を受講した人もいらっしゃるでしょう。
しかしながら、皆様の中で、胸を張って 「自分は研修で学んだことを実践で役立てている」 と言える方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか?



 

或いは、自社で行った研修が実践力強化に役立ち機能していると言い切れる経営者の方々は、どのくらいいらっしゃるのでしょうか?

 

もちろん、しっかり実践で活かせている方はいらっしゃると思いますが、活かせていないケースを目にすることも少なくありません。
実践に活かせている人と、そうでない人の違いは何でしょうか?

 

答えは簡単です。学んだ知識をすぐに使っているかいないかです。暫くしてから使ってみようかと思っても、忘れてしまって使えないという事になる訳です。

 

私自身は、研修のスペシャリストという訳ではありませんが、これまで受講したほとんどの研修については実行に移してきたという自負がある事と、私がこれまで在籍していた幾つかの会社では、研修で提供した学びを定着させる仕組みがよくできていて、この仕組みを私も理解しているという2点から、実体験に即した内容お伝えできると思い、今回のテーマを扱う事にしました。

 

それでは、学びを実践に適用する仕組みを、以下の2つの観点からご説明します。

 

1.研修コンテンツの工夫
2.日常業務における工夫

 

では、1つずつ話を進めていきますね。

 

1.研修コンテンツの工夫

座学で勉強するときに、学校の講義のようにテキストの解説だけを粛々とすすめるだけの研修では、それを実践に活かす能力は100%生徒に依存することになってしまいます。これでは業務への適用率は上がりません。従って、学んだ方法論を使って、研修の中で実践することが必須になります。ロールプレイのような事をする訳です。そして、さらに一工夫加えることで、再現性が飛躍的に増します。

 

例えば、財務分析の研修であれば、研修のなかで共通のケースやリアルケースを用いて実際に受講生に財務分析をさせるようにします。その時に、最終的な財務分析レポートにたどり着くまでに必要な各ステップでつかうワークシートを用意します。例えば

・B/S、P/Lから収益性、安全性、生産性、効率性、成長性を導くためのワークシート
・5つの指標のトレンド分析ワークシート
・5つの指標のベンチマークワークシート
・良い点、悪い点に関する原因追及ワークシート
・最終レポート

テキストに加えて、このようなワークシートを用いることで、後から振り返るときに、研修で実践した時の財務分析のステップを踏めるようにするわけです。そうすると少し忘れてしまったところがあっても思い出しやすい訳です。

 

2.日常業務における工夫

これは、研修で学んだことを実務でも遂行しなくてはならないように、プロセスに組み込んでしまうという工夫です。
例えば、先ほどの財務分析であれば、4半期に一度必ず、重要顧客についてはアカウントプランを作り、営業戦略を作り、上長及び関係者に向けてプレゼンテーションをするということ決める訳です。アカウントプランについてはある程度標準化したフォームを用意します。そのなかで、重要顧客の財務分析のコーナーを用意するのです。できれば研修の時に用いたフォームと共通化できればより効率的になります。

 

以上のように、学んだことを実務で実行しなくてはならない決まりを作ることと、その時にきちんと研修の内容を思い出せるような形のコンテンツを用意することによって、やりっぱなしの研修に比べて適用率が上がります。少なくとも、どのくらい身についているかの確認をする機会はアカウントプランの中で得ることができますので、学んだことが生きているのかいないのかがBlack Boxになってしまうことは避けられます。

 

え? そもそもアカウントプランを定着する事が難しいかも・・・ですって?
それは、信念をもって進めて頂くしかないのですが、信念を持つためにも役立つかもしれない幾つかの注意点や工夫すべき点がありますので、それをご紹介させて頂きます。

 

これから述べることはどれも基本的な事で、難しいことはありません。なのでちょっと面白みに欠けるかもしれませんが、まあ、基礎的な事ほど退屈だけど大事だったりしますので。。。お付き合いください。

 

まずは、目的を明確化します。要は、やって意味がないことは徐々に形骸化してしまい、悪評が立つだけなので、何のためにやるのかという事と、その目的が達成できたのかをトレースしていきます。

 

例えば、アカウントプランの場合、目的は“対象重要顧客向け売り上げの増大”になるでしょう。
アカウントプランの中で、3年で売上を2倍にするというプランを立てた場合、さらにそれを実現する為の直近の3ヵ月プランを作り、毎月進捗を営業とマネージャーがチェックして、どうしたら遅れずに進められるかを、“一緒になって考える”のです。
(※3ヵ月プランである理由は、四半期ごとにアカウントプランを更新するという前提にしたからです)
正直言って、アカウントプランを作ることは結構骨の折れる仕事です。なので、営業の尻を叩くツールのように使うと、営業は苦痛にしか感じません。すると、営業はどうやったらごまかせるか、、、と考え始めます。これでは機能するはずがありません。
アカウントプランを作ったからこそ、周りのエンジニアからもサポートを得られ、大きなビジネスの仕掛けもでき、社内のお偉いさんからも注目を浴びることができる、、、といったように、売り上げ増大を達成するまでの”プロセス”の中で、効果を感じたり、モチベーションが上がったりする機会を得られるようにすることが重要です。その為に、マネージャーは当事者として、前に進める協力をするといった姿勢を示す事が重要です。

 

実は、ここで重要なのはマネージャーの教育になります。長年アカウントプランを運用し、且つそれが有効に機能している会社の場合は心配ないかもしれませんが、新たにアカウントプランに取組むような場合、マネージャー自身がアカウントプランを作るスキルが無いと、営業の力になれません。その為に、事前にマネージャーの当該スキルを上げるための研修を済ませておくことは必須です。

 

本日のブログは、“研修を実践に活かす仕組み”というテーマであり、研修を実務に活かす仕組みを説明してきました。しかし本来はその前に、”本当に会社の儲けに結びつくための研修とは何か”を精査する必要があるはずです。つまり、

 

そもそもどこを強化して儲けを出すべきなのか

それを進める上で、顧客との関係はどのようなものである必要があるか

その関係を維持向上する為に、社内のプロセスはどうあるべきか

そのプロセスを進めるために、どのようなスキルが必要となるか

 

という考えを経て、初めて“社員が受講すべき研修が何なのか”が決まってくるわけです。
これらを体系的に漏れなく整理する為のフレームワークとしては、バランススコアカードが有名ですし、実績も豊富です。

 

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次回は、このバランススコアカードについてご紹介いたします。