11.学ぶことが多すぎる!

引き続きこのブログにアクセスして頂き、ありがとうございます。初めてのアクセスされた方も、このブログを通して少しでも皆さんにとって意味のある情報が共有できれば、この出会いに感謝したいと思います!



 

さて、今回は“学び”をテーマとしているのですが、このブログをご覧になっている読者の方々の中で、どのくらいの方が

 

“学ぶべきことが多すぎる!”

 

というお悩みを抱えていらっしゃるでしょうか?
もし、あなたが「その通り。学ぶべき事ばかりで頭が痛い」とお悩みだとしたら、それは素晴らしい事だと思います。なぜなら、あなた自身が成長意欲にあふれているという事だからです。

 

一方で、「そんな悩みはない」という方は、もしもあなたが「人生は一生学びの連続なのだから、悩むことではないよ」という境地に入っている方であれば、私からお伝えすることはないかもしれません。逆に私があなたからたくさん学ぶことができると思います。

 

しかし、“学び”という行為自身に取組んでいない、もしくは必要性を感じない、、、という方は、ご自身の可能性を生かし切れていないかもしれません。あなたの中でまだ眠っているかもしれない何かを開花することができたら、まだ見ぬ素晴らしい未来があるかもしれません。
“学び”とは必ずしも机上でするものには限られませんし、新しい体験をすること自身も含めて“学び”と呼ぶならば、ボランティアに積極的に精を出して輝いているお年寄りの方なども、学びを通して輝き続けていると言えるのではないでしょうか?

 

若い人にとっても、お年寄りにとっても、明日起こることは、予想できない事です。今日の生活に、ほんの小さな“学び”というエッセンスを加えることによって、今までと少しだけ違う新しい明日を体験することできたら、きっと楽しいと思います。是非“学び”にチャレンジしてみてください。

 

ということで、“学ぶべきことが多すぎる”ということは、本来悩むべき事ではないのですが、とは言っても現実はやっぱり“キツイ”ですよね。。。

 

そもそも、“学ぶべきことが多すぎる”という悩みはどうしたら解消するのでしょうか?

 

“これさえ学べば大丈夫”ということが特定できれば、それを学び終えたときに解消するかもしれませんね!

 

ところが実際はそうはいきません。成長意欲がある限り、次の“学ぶべきことが”が登場してしまうからです。
しかし、冒頭にお話しした通り、成長意欲があること自身が素晴らしい事です。迷わず追求し続けてください。

「いや~。。。そんなつらい思いを続けて成長し続ける意味って何?嫌だよ」

と思う方もいらっしゃるでしょう。そのような方は、もしも時間があれば私のブログの1~4回目までを覗いてみてください。共感できる何かがあるかもしれません。

 

改めて、“学ぶことが多すぎる”という課題に焦点を当てます。この課題意識はどういうタイミングでクローズアップされるのでしょうか?多くのケースは、“やるべき事/達成すべき目標” と “現状” の間にGAPがあるときに、このGAPを埋める方法としてクローズアップされるのだと思います。現実の世界では、ここに“時間”という概念が加えられます。

 

〇〇月〇〇日までに、これを達成しないといけない・・・となったときに、やるべきことが明確で、且つ自分でできるときは、計画を立てて遂行するだけですが、現在の自身の能力/知識ではできない時に、

・自分で学んで自分でやる
・できる人を探してお願いする

という2つの選択肢が浮かび上がってくるわけです。
ちなみに、余談ですが、この“やるべき事”、”学ぶべき事“を整理する上で前回のブログでご紹介した”クリティカル・シンキング“は非常に有効に機能します。

 

さてここで、時間が無い中、どういう基準で“自分でやる”か“人にお願いする”かを決めたらよいのでしょうか?様々な判断基準が考えられますが、現実的な選択としては、

 

①方法論などのように体得する必要があるスキルは、習得に時間がかかるので、できる人を探す
②知識の補完をすることによって実施できることについては、自身の専門分野や関心分野であれば自身で“学び”実施する
③それ以外はできる人を探す

 

というよう基準で決めるとシンプルです。②のみが”自分でやる”ケースですが、それでも学ぶ時間は限られますので、この”学び”を効率的に進める方法をご紹介します。これは、幾つかの速読の本のノウハウを組み合わせて、自分なりに効果があったと思う方法です。この方法を使って、よく週末に片付けなくてはならない仕事の時に、金曜の夜から土曜の昼頃までにかけて(徹夜ではないです)読了し、残りの土日で資料を仕上げるという事をしたものです。この方法は以下のステップを踏みます。

 

A. 本を選択して買う
B. 1回目の通読は、なるべく頭の中で音読せず、高速で目を通し、重要と思われるところに線を引く
C. 2回目の通読は、線が引かれたところのみを中心に読む
D. 本全体の要点をA41~2枚にまとめる。(まとめる過程で本を見直すのはOK)

 

Aについては、現在はAmazonの評価等、選択時に参考になる情報は比較的取りやすいのでそれで絞ると同時に、肝心な自分が必要な情報抜けていることを防ぐために、目次はチェックした方が良いです。

 

Bについては、一般的な速読の本の初期のトレーニングの部分で言及されている目の動かし方とか、頭の中で音読をしないとか、そのレベルは少し練習しておいた方が良いです。また、読むときに定規やしおりを読む行にそえて読む速度に合わせて動かしていくと、集中力が保ててスピードが維持しやすくなります。私も本当の速読スキル保持者ではないので、いつもより早く読めるようになったなと思う程度ですが、それで十分だと思います。

 

Cを通して、ある程度の定着化を図り、Dをすることにより頭の中が整理されます。実際にこのあと資料を作成するときに、再度本を読み返すことはあるのですが、Dの作業をしておくと、知識が頭の中の中で整理されるので、資料を作る速度が速くなりますし、頭にも残りやすくなります。

 

それほど難しくはないので、是非試してみて、細かい点はご自身で工夫してみてもよいと思います。
少し補足しますと、この速読法はご自身の専門分野に関する事の場合に特に有効です。それは本の中に既知の情報があるために、そこは読む必要がなく、速読しやすいからです。逆に言うとまったくの門外漢の場合は、あまり効果を発揮しないです。Bの時に線だらけになってしまうからです。専門分野を広げるときは、ある程度の事前の多読はどうしても避けられません。

 

さあ、これで何とか目の前の仕事は片付いた・・・という事になるのですが、せっかく前述の①②を通して自身のスキルの足りない点に気付いたのであれば、これをもう少し生かしたいですよね。つまり①②の過程で、時間的制限により他の人にお願いせざるを得なかった部分をどうするかです。これは平時の“学び”に取り入れるべき項目として位置付けるのがよいでしょう。私のブログで言うと3回目の「緻密な計画の立て方」の方法などを使って、勉強すべきリストとして期限を決めて学べばよいのです。
日々、同じ仕事をしているのに、人によってスキルの深さや幅に違いが出てしまうのは、この後追いの学びをやっているか否かによるものです。一つ一つの仕事を、自分にとっての貴重な出会いとしてとらえ、未来に活かしちゃいましょう。

 

7回目のDXに関するブログの記事で、

“力” = “意志” x “能力”

という話をさせて頂きました。学びは“能力”を強化するものですが、そもそも“意志”が薄弱では、”能力の不足”に対して警戒心が湧きません。「良い仕事をして、周りのスタッフやお客様に喜んでいただきたい」という気持ち、つまり”意志“が大事になるのだと思います。

 

最後に、経営者の方々や起業を志している方々にっては、平時から“学ぶ”必要性の高いエリアに対してご紹介させて頂きます。

 

ある程度成熟している会社ほどそうですが、日常の業務は社員がこなしてくれているわけですから、経営者の重要な役割とは、お察しの通り、世の中の流れを理解し、適切に会社の方針を決めることになります。とても難しいことですが、少なくとも致命傷になるような選択は避けたいところです。

 

世の中の状況を判断するのに、わかりやすいフレームワークと言えばPESTになります。釈迦に説法になるかもしれませんが、様々な読者層がいらっしゃると期待して敢えて、説明すると以下になります。

 

Politics(政治・規制の動向)
Economy(経済の動向)
Society(社会・文化・ライフスタイルの動向)
Technology(技術の動向)

 

これら4つの項目について、どのように学ぶべきか等を書くとしても、教科書的な事しか書けませんし、皆さんも退屈でしょうから、私から見て日本の経営者があまり関心を持っているように見えないけど、結構重要と思うところにフォーカスしたいと思います。

 

それは、Politicsです。特に国際政治ですね。
日本は、現在のところ少子高齢化により人口が減少する傾向ですから、市場が拡大することを期待するのは難しいです。なので、皆グローバル展開を考えます。その際は、平時であれば市場の魅力度を分析した後は、現地の信頼できるパートナーを作り、やるべきことを進めていけばよいのですが、現在は平時ではありません。今なお、多くの日本企業が魅力を感じているが、しかしながら、最も進出を控えるべき国があります。それはアジアの大国であるC国です。
多くのC国企業で働くC国人自身は、まじめで優秀な人なのですが、国全体が共産党の独裁管理下にあるという事が問題です。
特にC国進出において注意するべき業種は製造業です。製造業がしばらくはC国に進出を控えるべき、あるいは細心の注意をもって進めるべき理由が3つあります。それは、

 

1.技術が盗まれる
2.儲からない
3.法規制上の大きなリスクがある

 

他にも人権上の問題等いろいろ言いたいことはありますが、話が広がりすぎるのでここでは控えますね。
まず、1.ですが、そもそも日本や米国、ドイツなどが長年かけて築き上げた技術力と同等の力を、C国があっという間に身に付け、且つ安価に提供できる理由は、C国国民が並外れて優秀だからでしょうか?違います。盗んでいるからです。通常の製造業が最新の技術を取り込むには、研究開発に時間をかけるか、特許料を支払ってその技術を利用するかが必要です。それ自身も投資の判断を伴うわけですから、簡単に意思決定できることではありません。なので時間がかかります。しかし、C国企業は技術を(特許料も払わず)パクってしまうのです。政府が国力を上げるためにこれを後押ししています。
日本の新幹線の技術などは丸ごとパクられました。このような背景があるからこそ、米中の経済交渉において米国は以下の5項目を主張しているのです。

 

①アメリカ企業への技術移転の強要を禁止する事
②知的財産権を保護する事
③非関税障壁を撤廃する事
④アメリカに対するサイバー攻撃を全面的に禁止する事
⑤サービス産業と農業分野における市場を開放する事

 

上記の①②を米政府が主張しているということが、C国が技術を盗んでいる証左ですよね。日本の中堅企業においてもきらりと光る技術を持っている企業は、①の部分を注意してみる必要があります。これは日本企業に対してもなされていることですので。

 

「技術をよこせ」

 

と言われても、断ればいいじゃん。と思うかもしれませんが、これが共産党の巧妙なところです。そもそも多くの日本企業は巨大な(に見える)C国市場に魅力を感じています。そんな企業にC国は、

「どんどんC国に売って!」
「C国にどんどん進出して儲けて!」

と言ってきます。ビジネスは順調に推移し、ついに御社の総売り上げの50%をC国向けが占めることになったとします。その時は、C国進出に成功した優良企業として、羨望の眼差しで見られることでしょう。経営者も鼻高々かもしれません。その時に、C国はこう言うのです。

「C国向けの製品はC国に工場を作ってそこで生産するように」
「コア技術の設計情報を開示するように」

言うとおりにすると、御社のノウハウがC国に流れてしまうかもしれません。容易に受け入れられることではないですよね。そこで、あなたが「お断りします」と言ったとしましょう。するとC国はさらにこう言うのです。

「しかたないですね。それではC国市場から撤退してください」

 

これをC国政府が言うのですから、無視はできません。
売上が順調に推移し、社員の雇用も進め、投資も進めてきた矢先に、

 

「あたなの会社の売上の50%を占める市場を手放せ」

 

と言われたときに、簡単に受け入れられるでしょうか?
多くの経営者は、C国の要求を呑んでしまうのではないでしょうか?
呑んでしまった後は、もうコントロールはできません。技術はだだ漏れになります。

 

このような巧妙な手口で技術を盗みますので、C国進出には細心の注意が必要です。

 

次に“2.儲からない”ですが、

 

「え?どういうこと? 先の例だって売り上げが倍になっているんだから技術は盗まれても、儲かるんじゃないの?」

 

と思うかもしれません。
そもそもC国国内で製品を売った場合、手に入る通貨は元です。元はC国でしか使えませんし、ハードカレンシーではありあませんから、簡単にドルや円に換えられません。つまり日本本社にとって使えるお金ではないのです。ではC国工場で生産した製品を輸出して米ドルを稼いだ場合はどうなるか?このドルを何らかの形で日本本社に移そうとしても、共産党が外貨の持ち出し規制をしており、持ち出せません。結局、C国で稼いだお金はC国で再投資するしか使い道がないのです。

 

政治に関する事を雄弁に語ってしまいましたが、私も皆さんと同じビジネスマンであり、ジャーナリストでも学者でもないので、一時情報を集めて分析する時間などありません。これらの情報は様々な人の話を聞く中で、現在私が最も信用できる国際政治学者だと思われる方から得た情報です。ご関心がある方は調べてみてください。その方は

国際政治学者 藤井厳喜 先生

です。様々なご著書がありますが、最近はダイレクト出版から多くのコンテンツを提供しています。

 

最後に“3.法規制上の大きなリスクがある”について説明します。
そもそも、C国政府が先端の技術を欲しがる理由は、それをパクって経済的競争力を持たせるためだけではありません。軍事転用できる技術を手に入れたいからです。
これを察知した米国政府は、その技術で世界中を監視下に入れるつもりかもしれない・・・ということで、ファーウェイを米国市場及び同盟国市場から追放しました。そして、それだけでは安心できないという事で、
米国の輸出管理改革法(ECRA)を制定しました。(詳しくはJETROのサイトをご覧ください)
簡単に言えば、軍事転用可能な技術を含む製品の輸出や、技術の移転をした場合、罰するというものです。軍事転用可能な技術については、明確な指定があるわけではないために、米国政府との確認のプロセスをしっかりの認識していない限り、C国との取引自身がリスクという事になります。

 

これは、1987年に起こった東芝機械ココム違反事件を思い出してもらえるとリスクの大きさがイメージできると思います。当時の米国にとっての敵国はソ連(現在はロシア)でしたので、ソ連に対する輸出規制でECRAと同じような規定がありました。そこの管理が不十分だった東芝機械はソ連に、ある制御装置を輸出しました。ソ連はこの技術を生かして、潜水艦のスクリューに転用したのです。これによりスクリュー音が小さくなり、ソ連製潜水艦の察知が困難になったという事で、東芝機械はココム違反とされたわけです。こんな事想像できますか?ソ連自身との取引をリスクと考えないと対応できません。結果的に幹部社員2名が実刑となり、当時の社長と会長が辞職に追いやられました。

 

会社経営をやっていてワクワクするのは、事業を成長させるために、試行錯誤し、実行し、成果が出る過程です。しかしながら、私が、長年日本企業様と取引をしていて感じるのは、リスクに対する意識が低いなという事です。国際政治だけでなく、情報セキュリティについてもです。昨今の個人情報漏洩などの事件を見てもわかる通り、企業が成長を遂げることは一朝一夕には進みませんが、一方リスクに侵された時は、風評被害も相まって、一瞬で存続の危機に陥ることも珍しくありません。

 

成長意欲の高い企業経営者の方々は、それゆえ、“学ぶべきことが多すぎる”というジレンマが付きまといますが、学ぶべきことを精査するときには、攻めだけに偏らず、守りの観点でも基本的な事を学び、必要に応じて専門家を雇うなどのことが、大事な社員を守るためにも重要なのだと思います。

 

すこし、今回のブログは長くなってしまいました。“学び”については経営者向けの話が多くなってしまいましたので、次回は社員に対しての“学び”にフォーカスを当て、“学び”をそれだけど終わらせず、実践に活かすには何が必要かについて皆さんと一緒に考えたいと思います。