43.諦めなければ奇跡は起こるのか

皆さんは、諦めずに前に進み続ければ奇跡は起こると信じていますか?最近は、このような考えは流行らないのかなと思う一方、びっくりするほど前向きな若者に会って、逆に元気をもらったりするなど、人の考え方に関するトレンドは、なかなか分かりません。ただ最近よく、

 

「努力ができることも才能」

 

という言葉を耳にします。このように断じられてしまうと、「私は努力の才能が無いから」と、はなから自己研鑽を諦めてしまう人が出てきてしまいそうで、個人的には好きな言葉ではありません。一方、“努力”という言葉の定義も微妙であり、、、なぜなら好きな事であれば、一生懸命行っていることも努力とは思いませんから。



 

いずれにせよ、“世の中を変える”とか“世の中をあっと言わせる”・・・或いは“世の中の役に立つ”といったことを目標に定め、前に進む活動を行う事は、世の中にイノベーションを起こす原動力だと思いますので、とても大事だと私は思っています。

 

しかし一方、

 

「そんなことをしても成功するのは一握り。それなら好きな事を優先する事の方が楽しい」

 

という意見も耳にします。ただ私は、目標に向かって邁進している人は、必ずしも博打感覚でやっているわけではないと考えています。必ず成功するという信念を持つからこそ・・・なんてことを言うとまた、

 

「だから、努力ができることも才能なのよ」

 

と話が堂々巡りになってしまいます。なので、本日は諦めずに目標を定めて前に進むことは、奇跡を起こす可能性を高めるのかについて、科学的に検証してみたいと思います。とは言っても算数程度の知識しか使いませんが。

 

例えば今、貴方は5つの選択肢があるとします。そして1つの選択肢を検証するのに5日の労力がかかるとします。そしてあなたがそこからベストの選択肢を選ぶと次の新たな5この選択肢に進むことが出来ます。これを10回繰り返してようやく最終的な解にたどり着く事ができます。あなたはどのくらいの確立でベストな解を発掘する事ができるでしょうか?答えは、

 

1/5 x 1/5 x 1/5 x 1/5 x 1/5 x 1/5 x 1/5 x 1/5 x 1/5 x 1/5 =1/9,765,625

 

です。最適解にたどり着くまでのイメージは以下の通りです。

先日、身の回りで起こる奇跡の確立に関する記事があり、それによるとカジノで億万長者になる確率は、
“ 1/600,000 ” なのだそうです。上記の例は、それのより小さい確率という事になりますね。これでは、真面目に努力するなんてばからしいから、「好きな事をして暮らそう」と言いたくなるのもわかるような気がします。しかし、この確率はあてずっぽうで最適解を見つけようとしたときの確立であって、実際の世界ではこのように意思決定されることはありません。今ご案内したこの図のようにStep by Stepで絞り込んで行くアプローチが一般的です。

 

“努力が嫌いだ”と言う人は、最初のStepで1項目を吟味し終えたとき、5日が経過したことを顧みて、

 

「いったいどれだけ時間がかかるんだ!」

 

といって早々に諦めてしまうのかもしれません。5日x9,765,625 もの時間はいったい人生何回分になるんだ・・・と気が遠くなったのでしょうか?だとしたらその考えは間違いです。

 

“努力する才能がある人”は(※実際は才能でも何でもないのですが)、先程も述べた通り、目標を定めそれに向かって歩を進めます。数多(あまた)ある選択肢の中からラッキーを引き当てようとするのではなく、“目標”として絞り込むのです。最初の5つの選択肢をすべて評価して、目標に最も近づける最適なものを選択します。5日x5=25日ですから1週間=5労働日と考えれば5週間で最初の選択を終える事になります。そして次のステージで同様に5つの選択肢を評価する。これを10回繰り返すことにより、目標達成に最も近い最適解を見つける事ができるという計算になります。

 

努力嫌いの人が5日(1週間)で早々の諦めたのに対し、目標に向かって邁進する貴方は、1年(50週)かけて、貴方の最適解を見つけ出すことができます。49週余計に時間をかける価値はあったのでしょうか?

 

全体の選択肢の数から計算すれば、その最適解にたどり着く確率は、“カジノで億万長者になる確率”よりも稀少であるわけですから、より価値のある選択肢である可能性が高いのは間違いありません。

 

「だから、諦めなければ奇跡が起こるのです!」

 

ん?釈然としませんか?誘導されているような?そう感じた貴方は鋭い!実はこの話にはトリックがあります。最初から最適解が1つしかないと決まっている場合、前述のケースですと、それを見つけ出す確率は
1/9,765,625となってしまいます。しかし実際の解は1つではありません。

 

最初の5つの選択肢の内、どれが最適なのかは、目標によって左右されます。Aという目標であれば1が最適解になるし、Bという目標の場合は2が最適解になるかもしれません。そして次のステージでの最適解は、目標によって左右されるだけでなく、最初のステージで選んだ解にも左右されます。例えば貴方が、最初のステージで“山田さんというパートナーと組む”という解を選択した場合、山田さんが持つ能力によって最適な解は変わってくるでしょう。

 

スティーブ・ジョブスがアップルを作る事ができたのは、天才エンジニアであるスティーブ・ヴォズニアックと出会ったからだという話は有名ですよね。逆に、ヴォズニアックに出合っていなければジョブスは、アップルコンピュータと言う全く新しい概念のPCを作るという解を導きだせなかったのではないでしょうか?

 

“目標を持ち”つつ、且つ“行動をする”ことが最適な解を見出すためには非常に重要で、そして各ステージで出会った選択肢を、どのように目標達成に活用できるのかを全力で考える事により着実に自身の解に近づいていき、最終解にたどり着いたときに過去を振り返ると、各ステージでの出会いが奇跡のように思えるのですが、実はその出会いによって解は変化していきますので、その出会いと最終解の関係は必然なのです。
ある人が目標に向かって邁進し、あがきまくった結果、奇跡を手繰り寄せたように見えるのは、裏でこのような事が起こっているからです。

 

つまり、奇跡は創り出すものだと言うのが私の考えです。

 

ここまでは、個人を対象に論じていましたが、これが企業の場合はどうなのでしょうか?企業の場合はさすがに、“好きな事をして過ごす”ということ許されませんが、これと同程度に怠惰な意味にあたるのが、“同じ活動を繰り返す”という事になるのだろうと思います。企業も個人同様に目標設定をして、昨日より今日、今日より明日というように不断の努力をつづけることにより奇跡の様な飛躍を遂げる事ができるのだと思います。

 

少し宣伝になりますが、Tech-Dabが提供するBPOSは前述の奇跡をStep by Stepの選択により発掘する考えを少し応用しています。例えば、社内の業務プロセスが明文化されていない企業の場合イメージは以下の様な感じになり、掲げた目標を達成しようとしても、どのような選択をして良いかわかりません。かといって現場担当者が把握する細かい業務の一つ一つを拾っていくと、膨大な選択肢になってしまい現実的な取り組みではなくなってしまいます。

BPOSは業務のプロセスを人間が認識しやすいサイズに区切り、且つ詳細な業務も漏らさぬように階層構造をもたせたテンプレートを提供することにより、効率的に目標達成の為の選択を進めることを支援できるようになっています。

個人は目標を持ち、それに向かって邁進し、行動し、あがき続ける事により、奇跡を手繰り寄せる事ができますが、時にはそれは多くの時間を要する事もあります。一方企業の場合は対顧客と言う観点でも、対社員という観点でも、社会的責任が個人より大きい分、全てにおいて効率を求められてしまいます。我々は、そのような厳しい環境下においても、お客様に寄り添い、効率的な成長をご支援しつつ、その先にお客様の奇跡のような飛躍的成長を目にする事ができたなら、こんな幸せなことはないと思っております。