45.星野リゾート代表とホリエモンの対談を見て思う

本日YouTubeを見ていた時に、たまたま“星野リゾート代表の星野佳路さんと堀江貴文さんの対談の動画が目に留まったので見てみたのですが、とても興味深い内容でしたので、皆さんと共有したく、本日のテーマにしてみました。



 

皆さんご存知の方も多いと思いますが、星野リゾートはホテルの運営を手掛ける企業であり、業種で言えば観光業になります。つまりコロナ禍において、最も影響を受けた産業の一つです。ご多分に漏れず星野リゾートも大きな影響を受けており、都内でインバウンド客を多く扱っていたホテルは、緊急事態宣言期間中はクローズしていたので収益はゼロ。その他のオープンしているホテルも宿泊客は1/5程度まで縮小したそうです。しかし、本日はアフターコロナをテーマにして、非常に前向きな議論が展開され、この動画を目にした人の中には勇気をもらった人も多いのではないでしょうか?

 

今や星野リゾートはビジネスをグローバルに展開していて、各国のコロナによる影響の違いについても言及されていました。海外においてもあらゆる地域で業績は大きく下がっているのですが、台湾のビジネスは好調を維持しているとの事。実は台湾は世界で最もコロナの封じ込めに成功した国と言われていますので、ビジネスが好調である事は、それほど以外ではなかったのですが、これに対する星野さんの分析がとても興味深いものでした。重要なのは国内需要があるという事だというのです。台湾人観光客は海外旅行を楽しむ人が多いのですが、コロナの影響で国をまたいでの移動はできなくなり、結果需要が国内に回帰して、星野リゾートの台湾事業は好調になったという訳です。

 

一方で、バリやハワイは殆どがインバウンド客であり、地域内需要が無いために完全にビジネスはストップしてしまったとの事。さらにはこれらの地域は内部の医療施設が十分ではないために、インバウンドの受け入れに対しても慎重にならざるを得ず、回復までは時間がかかりそうだとの事でした。

 

バリやハワイに限らず、国をまたいでの移動の制限解除にはまだ時間がかかりそうですので、観光産業においては、国内需要がどれだけあるかがカギとなる訳です。そこで日本国内の市場に目を移すと意外な事が分かりました。いまや日本におけるインバウンド観光客の数は年間3000万人に達し、政府も非常に注目していますし、一時期の勢いはありませんが中国の爆買いに引っ張られている店も少なくないという印象です。しかしながら、日本の観光ビジネス市場を数字でひも解くと、市場規模は26.1兆円。このうちインバウンドが占める市場は4.5兆円。つまり17%に過ぎないわけです。さらに26.1兆円には日本から海外に向かう観光客の使うお金も含まれており、これが1~2兆円あります。これを国内に回帰させることにより、インバウンドの落ち込みは十分カバーできると、星野さんは自信をのぞかせていました。

 

考えてみれば、日本国内のコロナによる死者は1000人にも満たず、一方で毎年1万人以上に達していたインフルエンザによる死者が減少し(3密を避けたことによる効果かどうか因果関係は不明ですが)全体の死者数はむしろ減ったのではないかと言われています。人は生きていれば生活の為にお金を使う必要があるということを考えると、潜在的な市場は損なわれていないと言えるわけです。

 

星野さん曰く、アフターコロナでもしばらくは3密の状態を作ることは、観光客から受け入れられないだろうから、ビュッフェは止めて、部屋にテイクアウトできるようにしたり、チェックイン/チェックアウトは部屋で済ませるようにしたりという案を考えている様です。星野さんはさらに細かく国内市場を分析しており、東京・大阪をはじめとする国内4大都市の需要よりも、地方の日帰り観光客の市場の方が早く立ち上がるとみて、これをマイクロツーリズムと名付け様々な施策を考えているようです。

 

コロナ禍を好機と捉え、様々な工夫を凝らした企業が、心理的に冷え込んだ市場が回復する過程で機会を捉え、その先のインバウンドの回復の際にはさらなる機会をとらえる勝者となるのでしょう。よく、あの人は商才があるだの無いだのと言う人がいますが、ビジネスの世界において勝者になる企業は、市場と向き合い、アイデアを絞り出し、勇気をもってTry & Error を続ける事ができる企業だと思います。以前のブログでも触れましたが、世界最大の宿泊予約サイトを運営するBooking.comは毎年25,000回以上の予約サイトの改変を繰り返すことによって、お客様の支持を集め続ける事ができています。

 

私は今回のコロナの問題は、日本が輝きを取り戻す機会にすべきだと強く思っていますし、このブログを読んでくれている皆さんの中にもそう思っている人が少なくないと信じています。特に日本は製造業に強みがあります。先ほど述べたTry & Errorについても3Dプリンターの進歩により、モノづくりの世界においてもおり容易にTry & Errorが進めやすくなると感じていますし、サプライチェーンを見ても、間違いなく中国中心のモノづくりは終わりを告げて、世界に分散していきます。米国は間違いなく製造業の国内回帰を強烈に進めるでしょうし、国内に戻りきらない生産はメキシコなどが重要な生産拠点になるはずです。この機にメキシコ進出などを図るなど、勇気を持った意思決定を進める企業が機会を獲得していくことになると思います。

 

私は自分の営むビジネスの観点から、日本の企業が勇気をもって自ら意思決定できるための支援をしていきますが、同時に日本政府にも勇気ある決断を進めて日本の復活に寄与して欲しいです。日本のGDPは大きく分けると以下の4つで構成されています。

 

・輸出
・企業の設備投資
・政府支出
・個人消費

 

上記の内個人消費が最も大きく、GDPの約60%を占めるのですが、日本の消費者は生活が安定していないとお金を使わず貯蓄に回す傾向が大きいので、企業の輸出量が増え、設備投資も活発に行われることで賃金があがる事が重要になります。輸出については各企業サイドの創意工夫で伸ばしていく必要がありますが、設備投資等は先ほどのグローバルサプライチェーンの組み替えにかかる費用に対する政府支援を今以上に増やしたり、老朽化した国内社会インフラ再構築の予算化等を通して政府支出を増やし、企業むけ需要を後押しし、その上で消費税を大幅に減税することができれば、安心して個人消費もついてくるでしょう。

 

繰り返しになりますが、日本はコロナ禍で大きく人口を損なう事もありませんでした。従って国内の観光・サービス・小売りなどの産業は工夫をすることによって急回復ができます。一方日本の強みである製造業においても、世界的な動きは追い風です。さらに政府も実は世界の中でも米国に次ぐGDP比の予算を経済対策として計上しています。あとはアイデアを絞り出し、勇気をもって実行すれば結果はついてくると信じ、今日も仕事に勤しんでおります!勇気を振り絞っている人たちに幸あれ!!