30.コロナ後の企業の在り方を考えてみたーその2

前回に引き続き、アフターコロナを考えていきたいと思います。前回のブログの中では、世界はグローバリズムからローカリズムに回帰するかもしれないという事と、そのような変化の中でも、Tech-Dabを健全な世界創りに貢献できるような会社したいという思いを書かせて頂きました。



 

実は、ローカリズムについては早くも、公式にそのような方向に行くという政府の方針を見つけました。これは、令和2年4月7日に閣議決定された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」の中の一部です。興味のある方は検索すれば簡単に見つける事ができますよ。
その文書の中には「サプライチェーン改革」という項目があります。以下はその抜粋です。

 

“新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、マスク等の衛生用品も含めた我が国のサプライチェーンの脆弱性が顕在化したことを踏まえ、複数年にわたる取組により、国内回帰や多元化を通じた強固
なサプライチェーンの構築を支援する。具体的には、一国依存度が高い製品・部素材について生産拠点の国内回帰等を補助する(中小企業への補助率3分の2、大企業は2分の1等)とともに、マスクやアルコール消毒液、防護服、人工呼吸器、人工肺等国民が健康な生活を営む上で重要な製品等の国内への生産拠点等整備の補助率を引き上げる(中小企業への補助率4分の3、大企業は3分の2)。また、海外依存度が高い医薬品原薬等の国内製造拠点の整備も支援する(補助率2分の1)。さらに、我が国に供給する製品・部素材で、一国依存度が高いものについて、ASEAN諸国等への生産設備の多元化を支援する(中小企業への補助率3分の2、大企業は2分の1等)。加えて、一国依存度が高い部素材の代替や使用量低減、データ連携等を通じた迅速・柔軟なサプライチェーンの組替え等、サプライチェーン強靱化に資する技術開発を行うとともに、レアメタルの確保・備蓄を進める。“

 

“一国依存度が高い”と表現を濁していますが、どの国を指しているかはお気づきですよね。今回の騒動がはじまるまで、日本人に供給されるマスクの70%を生産していた国です。お隣の国ですね。いずれにせよ、上記の経済対策の中にはウィルス関連のモノののみならず、幅広い製品において、国が補助金を払ってでも国内に生産を回帰させると明言しています。ある意味、製造業が強い日本の経済にとっては、これは朗報かもしれません。いや、現在のウィルスによる経済危機を好機に変える為に“朗報にしなくてはならない”と思います。

 

今回の一連のウィルス騒動では、日本の政府の意思決定の遅さが指摘されていました。それは日本国憲法に「非常事態法」が定義されていない事だったり、縦割りの行政に起因する部分だったり、様々な課題はありますが、このブログの中ではそれは一旦棚上げにして、明るい部分に目を向けたいと思います。
日本は“決めるのは遅い”のですが、一度決まるとその先は一丸となってスピーディーに動くという特性もあります。海外のように強制力のある命令をしなくても、日本人は民度が高く、人に迷惑をかける事のないよう自身で考えて行動をとるために、全てを命令によってコントロールする海外より、国民が自ら創意工夫する事が期待できるために、より良い結果が出ることもある訳です。つまり、今回のウィルスによる危機は、日本の強さを証明する機会になるかもしれない訳です。

 

今一度、政府の意思決定から実行に至るまでの国内外の違いをざっくりと考えてみたいと思います。

 

米国の場合は、問題が深刻化して、経済への打撃が顕在化してからは、恐らく閣僚と専門家でどのくらいの経済支援をしたら失業率を以前の水準に戻せるかを議論して目標を決めたはずです。そこからは上院は満場一致で通過し、民主党優位の下院も、多少ペロシ下院議長がごちゃごちゃ言ってましたが結局は数日で通過して、4月中には小切手が各家庭に届けられる予定です。
余談ですが、米国議会では急ぎの決議案では、投票ではなく口頭でYes/Noで決議する方法があるらしいです。しかし、その場合は声の大きさで測るしかないので、大声を張り上げがちになる。そうすると感染者がいて大声上げたらウィルスがまき散らされるのでそのやり方はやめよう。。。という笑い話みたいなやり取りがあったようです。

 

一方日本政府なのですが、私も正確な事情は分かっていませんが、やるべき事をまず決めて、それを決議するという順番ではなく、できることを模索して、小出しに情報を出して国民の反応や、海外の動向を見ながら調整しながら最終方針にたどり着いたといった感があります。読者の皆さんも同じような印象を持っているのではないでしょうか?

 

議会の仕組みや、リーダーの資質等、様々な理由はあると思いますが、やるべきことを決めて、次にそれをどう実現するかを考える米国と、できることを積み上げて、調整に調整を重ねて最終案にたどり着く日本との違いというのは、国民性も大きく影響しているのではないかと感じています。

 

ビジネスの世界においても、政治の世界ほど遅くはなくとも、日本の場合はリーダーがやるべき指針を明示して、一気に進むというよりもボトムアップ型のアプローチが多い印象があります。なので、日本の企業は戦略が無いとか言われてしまうのかもしれません。

 

しかしながら、先にも述べた通り、日本人は決めた後に一丸となって進む力や、そのなかで現場が創意工夫して進める力は他国に勝ります。つまり方向性さえ決める力さえつければ、非常に競争力をもった企業がたくさん生まれると感じています。

 

そもそも、弊社Tech-Dabを設立した趣旨もそこにありました。我々が提供するBPOS(7月リリース予定)は、コンサルタントの力を借りずお客様が、お客様の力で戦略/施策を作り上げ、成長を続ける企業となっていただくことを目的としています。このブログの中では基本的に弊社のソリューションの話はあまりしないことにしておりましたが、アフターコロナの日本の成長に少しでも貢献したいという思いもありますので、ここで少し触れさせていただきたいと思います。

 

いくら方針が決められないとは言っても、どの企業も中期の数値目標は持っているはずです。問題はその数値目標を実現する為のHowが明確化されておらず、社員の創意工夫に依存しがちなために、力が集結せず、急な成長カーブが描けずにいるケースが多いと思っています。社員の創意工夫は良いのですが、バラバラに工夫されると、力が分散し、会社としての力が強くならないという事です。

 

BPOSは、中期の数値目標をバランスの取れた指針に落し込む為にバランススコアカードを用いています。これをシステム化して、基本的に提示されたパラメータを選ぶことと、ガイドラインに従って検討を進める事で、精緻なバランススコアカードを作成することを実現します。なお、バランススコアカード自身については以前のブログ“バランススコアカード”をご覧ください。

 

しかし、バランススコアカードだけでは、財務的指針、対顧客の指針、業務プロセスの指針、教育の指針を漏れなく洗い出すところまでしかできません。社員が一丸となって同じ方向を向いて努力をする為には日々の業務のBefore/Afterを定義する必要がある訳です。BPOSはあらゆる業務のプロセスを定義したデータベースを提供しますので、このデータベースとバランススコアカードで導き出した指針をマッチングする事で、新しい業務のプロセスを定義することを容易にします。

 

以上の取組をマネジメント層の方々が中心となって進めることで、社長が決めた中期数値目標を実現するための日々の活動が定義されるわけです。先に述べた通り、日本国民は方針を提示すれば、あとは自ら努力する力が他国よりあります。米国系企業がTop Downで進めるスピード感に対応する為に、日本の良さを生かした言わば、ミドルダウン方式で会社力を強めようというものです。

 

但し、システムを使うのは人です。より思考能力があり、貢献心も強い方がイニシアティブをもってBPOSを活用いただくと、より成功の確率は高くなります。我々Tech-Dabはお客様の成長をより確実にするために、お客様内のプロジェクトリーダー選びにもこだわっております。科学的手法を用いて論理的思考能力と貢献心の強い方をリーダーとして選定させて頂きます。

 

ここでは限定的な説明しか載せておりませんが、もし、BPOSに関心がおありであれば、弊社ホームページの“お問い合わせ”からお申し込みください。よろしくお願いします。

 

本日は、日本人の本来持っている強さに注目してコロナからの復興及びさらなる成長に焦点を当てましたが、成長を続けるには内なる強さだけを追求するだけでは片手落ちです。次回は、その日本と対極にあるお隣の国中国で生まれた戦略論「孫氏の兵法」を眺めてみて、企業戦略に活かせる点を探してみたいと思います。